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文化財保存における陶板の可能性について学会発表

2025/07/11

2025年7月5日、 福岡で開催された日本文化財科学会で「文化財の保存と活用における陶板の可能性」をテーマに2つの事例を挙げて企業発表を行いました。
また、企業展示ブースでは「高松塚古墳壁画 西壁 女子群像」「九戸城跡 土塁断面」を展示・紹介し多くの人に見て・触る展示を体験していただきました。

  • 企業発表の様子 
  • 企業展示ブース 

◆企業発表
 
①「国指定史跡 九戸城跡・土塁断面表示施設への陶板の活用」(岩手県)
九戸城の周辺を囲む土塁※は、版築状の堆積※を有する特徴的な構造です。
二戸市文化財課では、従来とは異なる見せ方で、「五感を使って、より版築を理解してほしい」と考えました。そして、検討を重ねた結果、昨年の同学会の企業発表で紹介した他事例をきっかけに、耐久性や再現性に優れていて、触った時の感動性もある陶板が採用されました。この作品については、色彩、質感の調整を幾度も重ね、「土塁の断面を見て、触れて、歴史を感じることができる」展示が完成しました。
市の担当者によると、展示後、史跡の見どころとして認識されているとのことです。
※土塁:敵の侵入を防ぐための土を堤防のように盛った防壁
※版築:木の板を立て、「蛸(たこ)」や「突き棒」などの道具を使って種類の違う土や砂利を一層ずつ突き固める工法

  • 九戸城 土類断面表示施設(陶板は写真右内壁) 
  • 製作風景:質感の表現(粒度の異なる材料の塗布) 

②「国指定史跡 貝殻山貝塚 貝層断面表示への陶板の活用」(愛知県)
この地域は、弥生時代には近くまで海岸がせまっていたと考えられており、漁が盛んに行われ年月を重ねる中で貝塚が形成されていきました。
耐久性、劣化しない、情報量の少ない貝層断面をきれいに見せることができるという理由で陶板が採用されました。この作品については、屋外の外光の中でも貝殻を見やすく、貝層にあった画像の加工処理をすることが課題でしたが、レタッチの工程でも手を加えることで克明な貝層断面を完成することができました。
担当者からは、「知ってもらう、みてもらうことの幅が広がった」との声をもらいました。

以上の事例を用い、屋外遺跡・遺構における陶板展示の強みとして①退色しない ②摩擦、摩耗に強い=触れることができる ③耐候性に優れている ④発見の臨場感を伝える ⑤オーダーメイド の期待に応えられることを伝えました。
直接触れることができる「リアルなもの」としての複製製作は新しい鑑賞体験の機会を作り出すなど、文化財の保存と活用に貢献できると考えています。私たちはこれからも、「やきもの」の可能性をさらに広げ、やきもので文化を継承してまいります。

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